よく、「検査用Tシャツを着た時は体臭が全く気にならなかったんです。これじゃ多分、普段の状態が分からないと思います」とおっしゃる体臭検査ユーザーさんがおられます。いえいえ、私には十分すぎるほど伝わっていますよ、アナタのニオイ…
これは「蓄積臭が全くない」まっさらな状態の検査用Tシャツを着ることによって、蓄積臭満載の私物を着ている状態との差異に気が付いている証拠です。つまり、蓄積臭が無い衣類を着ていれば、体臭は減ります。人によっては半減、いやほとんど感じられないくらい軽減する。
それだけ衣類の蓄積臭って恐ろしいモノなのですが、それに皆さん気が付いていない。お水で洗えばニオイまで取れているものだと盲信してしまう。コンパクト洗剤で洗えば泡も経つし、後から香料のニオイもするし…それだけで安心してしまうのですが…実のところ、ヒドイニオイの衣類を着てしまっている。恐ろしいことに、体臭の元であるニオイ物質が体内から出る前から、体温や環境温度の上昇で、そういう蓄積臭が揮発し始めて、体臭が周りに広がってしまう。それを「汗をかいたから体臭がクサくなった」等と考える人がどれほど多いことか…
また、ユーザーさんの中には「新品の衣類を着ても、すぐに体臭が広がります」とおっしゃる方も大勢います。もちろん「ワキガ臭」だったり、「動物臭」だったり、生臭かったりする場合は、体臭の原因物質が体表に上ってきて、それが揮発している、という場合が多い。
けれども、例えば「酸っぱい」とか「青臭い」とか「機械油みたいなニオイ」だったり、その他、珍しくないニオイの場合は、新品の衣類が臭っている、かも知れない…という怖いお話です。
新品の衣類だからと言って安心できない
検査用Tシャツは、Tシャツ専門店から仕入れています。普通の綿100%。割と厚手です。何故かというと、3回も高温水洗浄(70℃)でガンガン洗うため、どんどん薄手になっちゃうから(笑)
なぜ高温水でガンガン洗うか、というと、新品のTシャツにもニオイ物質がたくさん付着しているからです。それらはGCMSデータで拾われて、体臭原因物質混ざってしまい、どれがどれだか分からなくなってしまって、検査に支障をきたすから。
もう一つには、なるべくタイトにして、体臭原因物質がなるべく付着しやすい状態にしたいから。もっと言えば、繊維の表面に付着物があると、分泌物を吸い込みにくいって点もあります。
3回ガンガン洗った検査用TシャツをそのままGCMS分析すると、何も検出しません!
さて、下の写真は、検査用Tシャツを10枚洗った時のお湯の画像です。左の画像は洗濯機の中に10枚のTシャツが入っている、1回目の洗浄。洗剤は使いません。洗剤成分が残ると、また分析に支障が出ますからね!
なかなかエグイでしょ!
右側は2回目の高温洗浄の時のお湯を汲んで、水道水と比較したモノ。左が水道水です。まだハッキリわかるくらい濁っていますね。
新品の衣類に付着しているニオイ物質
さて、新品のTシャツには、何が付着しているのか? いろいろです。サイジング剤や糊、機械油や香料、染料などですね。蛍光剤で青っぽい白に仕上げたりもします。同じ綿100%でも白く漂白している場合もあります。当然、その漂白剤の残留もあります。基本的に綿は生成り色をしている、んじゃなかったでしたっけ? 完璧に真っ白なわけじゃない。色物、柄物はもっと様々な染料が付着しています。
それらは無臭じゃありません。例えばインディゴなんて、酸っぱいニオイがきついですし、青臭いTシャツも多いのですが、あれはサイジング剤のニオイかな? 糊も基本的に酸っぱい。ロットが古いと色味が汚いだけじゃなくて、埃っぽいニオイがあるモノも多い。
そういうモノなんです。買ったばかりの衣類が「下ろしたて」というのは正解だけど、だからと言って「うーん、無臭!」とか「いいニオイ!」っていうわけでもない。
最初にお湯でしっかり洗う
だから、新品を買って、すぐに着るのはよくありません。まずは1回洗いましょう。私の所のように70℃のお湯で3回、それぞれ15分洗いなさい、とは言いません。けれど、出来る限り、「新品ならでは」のニオイは除去しておきましょうね。普通の洗濯で良いです。但し、お湯。40℃もあれば良いでしょう。ポリエステルは60℃、アクリルは50℃を超えてガラガラ洗うと変質したり、絞りジワが取れなくなります。
だから40℃で良いです。洗剤は当社の粉末洗剤。濯ぎは2回~3回。これも1回目は30度以上のお湯にしましょうね。
同じ酸っぱさでも体臭由来の酢酸臭より染料の酸っぱさの方がエグイニオイがしたりします。他のニオイもそう。合成的なニオイは忌避度が高いものが多い。
皆さん、気を付けて下さいね。
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