N0.58 既に無いニオイも無理に探すと存在するように感じてしまう~幻臭の話

周囲の反応や感じ方
周囲の反応や感じ方 自己臭恐怖症
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当社で体臭検査を受けたユーザーさんのうち、全体の2割~3割程度の方は、同性同年代の平均と比較しても、体臭が弱いと言えるレベルでした。これを一括りに「自己臭恐怖症」と、ワキガ専門医さんなら言ってしまうでしょうが、しかし、それをお伝えしたところで、ご本人の悩みが全く解決しないのは何度も書いてきた通り。

もし検査の時点で体臭が弱いという判定が出ても、それがいつも同じ状況だという確証にはなりません。明日、明後日と未来の方向には「改善方法の提案」という良い要因が働くので不安はありませんが、過去のどこかの時点、例えば他人からのニオイの指摘を受けた時点と、実際に検査に臨んで頂いた時点とでは、差があるのではないのだろうか? そういう気持ちを持って対応しているので、私は「自己臭恐怖症」と言う一括りでユーザーさんを見ることはしません。

それにしても、ヒトの感性とは不思議なモノです。今回はそんなお話。

感覚は人をだます

風邪をひいた時、食べ物の味が違って感じることはありませんか? 風邪をひかなくったって、鼻をつまめば、もう味なんて分からなくなります。コロナにかからなくたって、ただの鼻詰まり程度でも味覚は当てにならなくなるということ。

この間テレビで「ジュースのニオイのするコップ」の話をやってました。ただの真水を入れても、コップからフルーツの臭いがすると、ジュースを飲んでいると勘違いしてしまう。

嗅覚の不思議

ニオイの問題は、特にそういう点であいまいです。私も「イソジン」を3日も使うと、その後2週間くらいは、ふとした瞬間にイソジン臭を嗅ぎつけてしまいます。絶対にイソジンが無い場所なのに。

苦手なニオイ、嫌いなニオイは、大脳に記憶されやすいと言います。これはその他の記憶とセットになって記憶されるので、より鮮明になるそうです。イソジンのニオイなら、体のだるさや喉の痛みとセットで記憶されるから、鮮明だという事。まあ、イソジンのニオイは単体でも鮮明に記憶されるレベルですけどね。

そんなことが体臭でも起こるというのも、決して不思議な事ではありません。

ガスクロマトグラフィー質量分析なら分かるレベルのニオイボリューム

ユーザーさんから預かった私物や着用して頂いた検査用Tシャツで感応検査をした時には絶対に感じなかったタイプの物質が、ほんの僅かに機械分析で検知された。そういうことも当然あります。感性の部分では人間の鼻に勝るものはありませんし、その道を究めて20年の経験を持つ私ともう一人のスタッフは、特に自信があります。しかし、色々な物質に紛れた僅かな分量の物質を全て見極め(嗅ぎ極め?)られるかと言えば、そんなはずはなく、だから、GCMSデータを見ながら「ふーん。機械って、スゲッ!」とか言いながら仕事してます。どちらが優秀なのかは置いといて、双方補完することで体臭検査は成り立っています。

ユーザーさんの記憶と原因物質の奇妙な一致

けれど、時折り、機械だけが検知できるレベルの分量しかない物質の臭気タイプを、ユーザーさんが「こんなニオイで悩んでいるんです」と、問診票であらかじめ申告されている場合があります。

「それは今ですか」と私が訪ねると「ハイ」と答える。実際に会ってみても、そのニオイは絶対にしていない。私はその物質の試薬のニオイを嗅がせる。するとユーザーさんは「コレです。コレ。私、このニオイしてるでしょ? 今も」

私はそれこそ、暗闇で鼻をつままれた感じ。だって普通なら絶対に嗅ぎ分けられないボリュームのニオイですから。不思議でしょうがないんですが、そうも言ってられません。なんとか、そのメカニズムを説明出来るようにならなければ。

幻臭と名付けるしかない…

で、結論です。これは確かに体臭由来のニオイである。そしてユーザーさんはかつて、この体臭があった。そして、今は無くなっている。或いは人には感知出来ないレベルでしか存在していない。しかしユーザーさんは鮮明な記憶があるために、そのニオイを今も探していて、疑似的に嗅ぎつけている。つまり幻嗅。或いはユーザーさんだけが感知出来るようになった。と、考えることにしました。

しかし、この「幻臭」で悩まれている方は多いように思います。しかも、記憶にも無いニオイの事で悩んでいる人も多い。

例えば、いじめっ子に「お前、うんこクセーな」と言われた学童が、長い間、そのニオイを探し続け、疲れ果ててしまう。そんな事例も私は知っています。24時間ずっと一緒に居るわけではないから「絶対に大丈夫!」とは言い切れないけれど、違う日時に24時間ずつ着用した衣類から当該のニオイが感じられないのならば、そのニオイはアナタには存在しないも同然。

もちろん、何かの拍子にそういうニオイを発露することもあるかも知れないけれども、それなら「お前、クセーな」と言われた時だって,そうなのかも知れない。だから、それを必要以上に気にする必要はありません。そんなイヤなニオイの物質が体表にあったとしたら、確実に私の鼻か、GCMSが感知します。

しかし…ああ、人間の感覚って、不思議。

 

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