No.28 殺菌・抗菌だけでは衣類のニオイを消せない その2

洗濯・洗剤
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前回は雑菌が臭うわけではなく、ニオイ物質がニオイを発散している、というお話でした。「菌が悪い」というCMが多いのは何故なんでしょうか?確かに衣類の雑菌を無くすことも必要なのですが…その話と共に、家庭用洗濯洗剤市場の実情を前のブログに詳しく書いてありますので、まずはそちらを先に読んで下さいね。下記URLから行けます。

No.27 殺菌・抗菌だけでは衣類のニオイを消せない
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さて、前回の話を踏まえたうえで、今回は、なぜ洗剤市場は抗菌推しなのかを解説したいと思います。

洗剤配合の抗菌剤について

 抗菌・殺菌に使うアプローチ物質は洗剤で言えば4級アンモニウムの仲間が多いですね。例えば塩化ベンザルコニウムとか塩化ベンゼトニウム等の陽イオン界面活性剤を使う場合が多いです。これらは「菌」に対して広いスペクトルで効果がありますが、ウイルスには効かない。抗ウイルス対応となるとまた別物になりますが、今回の話とは関係ないので、いずれ詳しくお伝えします。

洗剤に使いやすい抗菌剤は4級アンモニウム

4級アンモニウムは洗剤中に全体の0.1%も入っていれば、抗菌効果が見られます。私も元々抗菌作用のために4級アンモニウムを使っていたのですが、皮膚感作性等の様々な弊害が考えられるので、今は化粧品で使うフェノキシエタノールを使っています。

これはエタノールという名前が付いていますが、殺菌用に使うエタノールとは別物で、ほとんど皮膚感作性もなく、殺菌効果も十分です。但し、0.5%くらい入れないと足りない。当然、高上りになります。

洗剤市場は、なぜ「抗菌」推しなのか?

さて、一般的に洗剤で使っている4級アンモニウムは、とにかくお手軽に使える。だから「抗菌」を前面に推すわけですが、じゃあなぜ、「抗菌」することがが必要なのか? もっと言えば、一般的な洗剤に「抗菌」というサブタイトルを使いがち、なのか?

普通に洗っただけではちゃんと抗菌になっていないから? それだけ?

私には「消臭」というサブタイトルを使わずに、わざわざ「抗菌」を前面に押し出して「抗菌や殺菌=消臭」と一緒くたに見せているように思えます。

抗菌は安上がりだから!

広範囲のスペクトルを持つ、抗菌剤の4級アンモニウムを使うと安上がりだから、というのが一つの理由。菌をニオイに対しての悪役に仕立てていけば「抗菌しておけば、消臭になるよ」と言いたいのではないか?

消臭の専門家の私に言わせれば、「菌の除去は菌の除去。消臭は消臭。それは別な工程である」ということであり、一緒にしてはいけないと考えています。それを多くの人に知ってほしい…あれ? これって、前のブログの結論でしたね…

広範囲に効果がある消臭成分は存在しない

例えば4級アンモニウムは多くの細菌を殺すのに効果がある。しかし消臭はそうはいかない。広範囲のスペクトルでニオイ物質を何とか出来るアプローチ物質はありません。

まあ、かなり広い範囲でニオイをどうにかできるとすると、塩素くらいですかね。次亜塩素酸です。食器用のハイターとかブリーチとかの次亜塩素酸。それでも、どんなニオイでも、という訳にはいきませんけれども。

次亜塩素酸にはニオイを発する化合物の骨格をぶった切る効果があります。例えばベンゼン環を持つニオイ物質、例えばウンチのニオイの元であるスカトールやインドールを別の物質にするためには次亜塩素酸しかありません。

次亜塩素酸は洗濯物の色柄を破壊する。だから使えない

但し、塩素のニオイが衣類に付着してしまいますし、殆どの色素を分解してしまいます。次亜塩素酸に晒して無傷で済むのは染色堅牢度が強いポリエステルだけですね。それも新品のうちだけ。だから、お洗濯の時には使えません。

イオン交換型消臭成分がニオイの悩みを救う

洗濯の際にニオイを取るためには、何度も洗ってニオイ物質を洗い流すか、後はイオン交換型の科学的消臭法を使うしか方法がありません。

しかし、何度も洗う、という方法を洗剤屋さんが推奨するという事は、洗剤自体に効果が無い、と言っているようなモノ。そんなマネは私にはできない…洗剤屋さんだったら誰でも同じでしょうが…「時短」「簡単」「手間いらず」という方向に行っているメーカーさんなら尚更です。

イオン交換型の科学的消臭法というのは、ニオイ物質のどこか一部分に何かをつけ足したり、その一部分をアプローチ物質が奪ったりして、ニオイ物質を別の、ニオイの無い物質に変えてしまう方法です。すごく難しい話だからうまく説明出来ないんですが…イオン極性を持つアプローチ剤(物質に作用する原料)にはそんな芸当が出来ます。

当社の「ベネフィットーイオン」という名前は「イオンのおかげ」という意味。私からのイオンさんへの気持ちの表れです…蛇足でした!

但し、高コスト、高技術が必要。私でなければ作れない!

じゃあ、イオン交換型の消臭アプローチ剤を配合すればよいか? というと、これは第一に価格が高い。4級アンモニウム0.1%入れるのとはわけが違う。下手をすると数百倍のコストがかかる。

更にはニオイ物質をイオン交換しようとするときにはpH特性を考慮しなければならず、それが難しい。もう、実地で効果測定を何十回も繰り返さないと様々なアプローチ物質の混合は叶いません。

安くして効果を持たせる、という事は元々無理なのです。

市場に安価で出回っている洗剤については、そんな理由で「殺菌・抗菌=ニオイも大丈夫」という流れに持っていきたいと考えている、ってことです!

次に続きます。

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