前回の「PATM(パトム)とは何か? その1」では、パトムという現象に悩んでおられる方が多く存在していること、しかしながら医師でさえもこの現象を信じていない人が多いということ、そして私はパトムは病気ではなくて体臭の一種であると考えていることなどを書きました。
今回もパトムについてを深掘りしていきますが、前回のブログを読んでいない方は、まずはそちらを読んでくださいね。下記をクリックすると前回ブログに行けます。

それでは、本題です。
PATMかどうか。分泌物内容が問題
体臭検査ユーザーは現時点で1800人を超えています。当社では、あらゆる体臭原因物質の特定を目指していますが、すべてをつまびらかにする、というところまで行っていません。新たなユーザーさんが増えれば、それだけ新しい物質検出も増える可能性がありますしね。
私が把握している体臭に関連する物質は三百数十種類。というのも、ある種のニオイ物質が検出されて、それが頻出した場合、まあたいがいは10回出てくる、つまりは10人のユーザーさんから検出された物質については「試薬」というモノを取り寄せて、ニオイや感触を確認しています。その工程を経ないと「ニオイ物質を正確に把握する」というところまで行きませんから。
PATMの反応を促すであろうニオイ物質は三百数十種類のうちの二十数種類となっています。実の所、試薬って、25mlで1000円くらいで買える物から1mlで数万円、時には10万円を超えるものもあります。試薬コレクションもいばらの道なのですが…PATMの原因となり得る物質は意外と安く買えるので、狙った試薬はだいたいコレクションしています。
体臭ばかりが周りの反応原因ではない
前回ブログでも書きましたが、PATMと自己臭恐怖症は紙一重です。というと少し語弊がありますが、つまりは周りの鼻啜りや咳き込みで悩んでいる方のうち、一定数の方は、ご自身の体臭が原因ではない、ということ。この中にはホントにセンシティブな問題もあれば、外的要因をわざわざ自分で作っている場合もあります。つまりは柔軟剤の使い過ぎ、香料製品の使い過ぎ、単に不潔にしすぎ、等々。
それをキチンと見分けるには体臭の原因となる分泌物の中に周りの反応を促すような刺激感物質があるかないかを明確にする、しかありません。
周りの反応を促す刺激感物質とは?
さて、その刺激感物質ですが、大まかに分けると以下のようになります。
1、芳香族炭化水素を含む刺激感のある炭化水素類
2、不飽和アルデヒドを含む、刺激感のあるアルデヒド類
3、刺激感のあるアルコール類
4、刺激感のあるケトン類
5、その他
炭化水素だけがPATMの原因ではない、と私は考えています。何故かというと、①上記に含まれる物質の検出がある検査―ユーザーさんがPATM反応に悩んでいる➁そのユーザーさんの私物を嗅ぐとユーザーさんが申告するPATM反応が自分でも起こる➂上記の物質の試薬を嗅ぐとユーザーさんの私物を嗅いだ時に起こる反応が起こる、からです。
トルエン・キシレン・2-エチルヘキサノールだけじゃない
お医者さんの中には「トルエン、キシレン、2-エチルヘキサノールの検出が無いからPATMではなくて、気のせい」とおっしゃる方もおられました。これはもう2年も前の話ですが、今のお医者さんの見解が変わっているかも知れません。けれども、そういう有名なPATM原因物質だけが原因ではないと、私は考えています。実際にトルエンで引き起こされる反応はダイエット臭(ケトン臭)で有名なアセトンでも起こります。
さて、速足で先に進みます。
①炭化水素で有名なモノはトルエンやキシレンですが、当社のGCMSで良く検出されるものは、他に2.2.4.6.6-ペンタメチルへプタンなどもあります。
➁の刺激感のあるアルデヒドというのは特定悪臭物質が多く含まれていて、プロピオンアルデヒドやイソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド等、多数、特定しています。
➂のアルコール類で有名なのは2-エチルヘキサノールですね。名前の最後が「ノール」となっているものはアルコール類です。対して「ナール」となっているのはアルデヒド類になります。
➃は上記の通り、アセトンが有名ですね。ケトン類はワキガの原因物質も多数あります。ワキガの原因でもあってまさにワキガ臭そのものというモノの中にも刺激感があるモノがあります。そういう場合は、その物質がワキガ臭の原因でもあり、PATMの原因でもある、となります。メチルエチルケトン等はその一種と私は認識しています。⑤については、今後の研究で明らかにしていきます。
PATM物質の分泌を無くす、ということとは
物質の名前には皆さん興味ないと思います。けれども体臭検査の「体臭の原因となる物質の種類」の所に書いてあるニオイ物質のいくつかは、それが無ければ体臭印象とか周りの反応が大きく変わってくるはずです。定期的に体臭検査を受けて下さるユーザーさんも多くいますが、「今回の検査では★★の物質検出がありませんでした。だから体臭印象がこのように変わっています」という風に説明できます。だから物質名も大事なんですよ!
様々な改善策、特に内分泌コントロールは、究極的には「悪影響を与えるニオイ物質の分泌を無くす」ということになります。それには①PATM物質が体内に入り込まないようにする➁体の中に蓄積しているPATM物質をクリアにする、という両面での対処が必要になります。この手法は何もPATMに限ったことではなく、皮脂や汗などのニオイという内分泌系の体臭を改善するにはこの方法しかありません。
PATMの根本改善は他の体臭に比べても長くなる傾向になります。少しずつ減ってくる周りの反応を励みに頑張っていきましょうね。ちかぢか、今回の続きとして「疑似PATM」ともいうべき、自らPATM物質をまとうような状況について説明したいと思います。
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